5月下旬、新緑と春バラが全国の庭園を彩る中、プロの庭師たちが技と哲学を競う坪庭展が各地で開催。兵庫県明石市の明石公園では「第2回庭展伍國」が、山梨・清里では萌木の村で「ナチュラルガーデンマンス2026」が開幕し、大きな熱量を生み出した。英国では世界最高峰のチェルシーフラワーショーが開幕し、石原和幸氏らが日本の造園美を世界に向けて発信した。GREEN×EXPO 2027の吉祥寺オフィシャルストアのオープンなど、横浜園芸博に向けた機運醸成施策も本格化している。現場では資材高騰と働き方改革への対応が続いており、技術力と経営力の両輪が求められる1週間となった。
造園・庭職の動向
【イベント・造園】
兵庫・明石公園で「第2回庭展伍國」開催。プロの庭師たちが坪庭で自らの世界観を競作
5月23日と24日の2日間、兵庫県立明石公園の中央園路にて坪庭展イベント「第2回庭展伍國(にわてんごこく)」が開催された。プロの庭師たちがそれぞれの世界観を1坪の空間で表現し、複数の庭表現を一度に見比べられる貴重な機会となった。広い芝生広場や大木が点在する緑豊かな公園環境を活かし、中央園路にはキッチンカーやフード出店、作家の作品販売、ワークショップも並んだ。入場無料・雨天決行という立ち寄りやすさもあり、庭に明るくはない一般来場者にも「庭のある暮らし」を具体的に想像できる場として賑わいを見せた。天空の坪庭展(静岡)、なにわの坪庭展(大阪・堺)、庭展なら(奈良・大和高田)と続く全国各地の坪庭展の流れに、関西の新たな顔として存在感を示した。
出典:明石じゃーなる 2026年5月20日・はりまっぷ 2026年5月
【地域イベント・文化】
清里・萌木の村「ナチュラルガーデンマンス2026」など、ガーデンイベントが多数開幕
5月23日、山梨県北杜市・清里高原の萌木の村で「ナチュラルガーデンマンス2026」が開幕した。ランドスケープデザイナーのポール・スミザー氏が手掛ける約1万坪のナチュラルガーデン「ナチュラルガーデンズMOEGI」が主役の約1ヶ月間のイベントで、700種以上の植物が豊かに生育する無農薬の庭が来場者を迎えた。6月21日まで開催予定で、限定メニューやホテルの特別デザートなど施設全体を巻き込んだプログラムが用意されている。
今週は全国各地でバラと緑を主役にした庭のイベントが重なった。神奈川・横浜の山手イタリア山庭園では5月24日にローズコンサートが開催され、国指定重要文化財の洋館を背景にした美しく手入れされたバラ庭園が音楽と調和した。東京・調布の神代植物公園と新潟・長岡の国営越後丘陵公園ではバラの早朝開園(モーニングオープン)を5月23日・24日に実施。約800品種2,400株のバラが咲く越後丘陵公園のスケール感は、プロの維持管理技術の粋を見る機会でもある。埼玉・さいたまの与野公園「ばらまつり」では地域のボランティアと管理者が一体となって手入れする約3,000株のバラが見頃を迎えた。静岡・熱海のACAO FORESTでは斜面を活かした広大な庭園でバラがピークを迎え、海を借景にしたランドスケープが多くの来園者を魅了している。京都・京北の「香りの里オープンガーデン」では個人の庭・六ヶ畔の花簾庭が5月23日より限定公開され、丁寧に手入れされたバラを中心とした景観が来場者を楽しませた。これらのイベントを支えているのは、日々現場で働く庭師たちの技術と継続的な維持管理であり、「庭の仕事の価値」を地域の人々に直接届ける大切な季節となっている。
出典:萌木の村 公式サイト 2026年5月・横浜市緑の協会 2026年5月24日・国営越後丘陵公園 公式サイト 2026年5月・京都観光Navi 2026年5月23日
【海外・イベント】
英国「チェルシーフラワーショー2026」開幕。石原和幸氏・丹下ポール憲孝氏が日本の造園美を世界へ
5月19日、英国ロンドンのロイヤル・ホスピタル・チェルシーにて「チェルシーフラワーショー2026」が開幕した(〜5月23日)。気候変動への応答やレジリエントな庭デザインが世界の潮流となる中、日本からは庭園デザイナーの石原和幸氏と建築家・丹下ポール憲孝氏が共同制作した「Tokonoma Garden – Samumaya no Niwa」が出展された。2025年に石原氏がショーガーデン部門ゴールドメダル、チェルシーガーデンオブザイヤー、ピープルズチョイスベストショーガーデンの初の三冠を達成したことで、日本の造園技術への世界的な注目はさらに高まっている。日本の伝統的な美意識と緻密な職人技を融合させた庭が、世界最高峰の舞台で存在感を示し続けていることは、国内で働く多くの庭師にとっても大きな刺激となっている。
出典:RHS(王立園芸協会)公式サイト 2026年5月・JAPANESE in the UK 2026年5月
【イベント・国際】
GREEN×EXPO 2027 オフィシャルストアが吉祥寺にオープン。開催300日前の機運醸成が本格化
5月22日、東京・吉祥寺のジュンク堂書店吉祥寺店(コピス吉祥寺B館6階)に「EXPO 2027 オフィシャルストア ジュンク堂書店 吉祥寺店」がオープンした。同日、大阪・あべのハルカスでもポップアップから常設店舗へと格上げされており、GREEN×EXPO 2027の開幕300日前を記念した全国的な機運醸成施策が本格化している。公式マスコットキャラクター「トゥンクトゥンク」のグッズをはじめとする公式ライセンス商品を取り揃え、多様な文化が交差する吉祥寺という立地で幅広い層への認知拡大を図る。2027年3月19日の開幕に向け、造園・ランドスケープ業界にとっても最大の舞台となる横浜園芸博の存在が、より身近に感じられる時代に入った。
出典:丸善ジュンク堂書店 2026年5月20日・2027年国際園芸博覧会マスターライセンスオフィス 2026年5月22日
道具・資材の動向
【市場・ビジネス】
戸建ての防犯不安67%に対し外構対策実施はわずか6%。造園・外構業者に潜在的な商機
5月19日、株式会社NEXERとエクスショップの共同調査が発表した住環境調査によると、戸建て居住者の67%が防犯に不安を感じているにもかかわらず、門扉やフェンス、見通しの良い植栽といった外構での防犯対策を実際に実施している割合はわずか6%台にとどまることが判明した。この大きなギャップは、造園・外構業者にとって潜在的なビジネスチャンスを示している。適切な剪定による死角の解消や防犯性の高い資材を組み合わせた「庭を通じた防犯提案」は、単なる美観の提案を超えた付加価値として顧客に訴求できる。
出典:NEXER・エクスショップ共同調査 2026年5月19日
【資材・市況】
木質建材の大手メーカーが6月受注分より15〜20%値上げ。ナフサ高騰の波が庭まわり資材にも拡大
先週来続くナフサ高騰の影響が、今週は木質建材にまで波及した。床材・壁材などを手掛ける大手メーカーが6月1日受注分より15〜20%の価格改定を発表。ウッドデッキや外構周辺の木質部材の実行予算への影響が避けられない状況だ。塩ビ管・防水材・シンナー類に続き、木質建材まで値上がりの連鎖が続いており、現場では仕入れ価格の変動をリアルタイムで把握した上での精緻な見積もり管理が不可欠となっている。
出典:新建ハウジング 2026年5月22日・建材流通業界各紙 2026年5月
【出典・引用元について】
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