GWが明け、現場が再び動き出す中、今週は奈良の「庭展なら」のような職人の技術が光る動きが多く見られた。みどりの日には国立公園が無料開放され、多くの人が日本庭園に触れる機会に。ロンドンではチェルシーフラワーショーの開幕が来週に迫り、気候変動へのひとつの解決法としての「庭デザイン」が世界的な関心を集めようとしている。英国では「No Mow May」運動が今年も本格化し、「あえて刈らない」という選択がプロの管理手法に問いを投げかけている。4月の高温が生んだ害虫の早期化と向き合いながら、職人たちにとっては「手仕事の価値」を問い直す、密度の高い1週間となった。
造園・庭職の動向
【イベント・造園】
奈良・大和高田「第5回 庭展なら」開催。職人の手仕事と働く機械が天神社に集結
5月9日・10日の2日間、奈良県大和高田市の天神社(JR高田駅東口より徒歩2分)で「第5回 庭展なら」が開催された。「庭師と出会う。庭師と遊ぶ。」をコンセプトに、有本造園、植和造園、修成建設専門学校ガーデンデザイン学科など11組の庭師・団体が参加。それぞれが個性豊かな庭を制作・展示したほか、カニクレーンへの乗車体験やキッチンカー、ミニマルシェも会場を賑わせた。入場は無料。単なる美観の提示にとどまらず、庭師が日々の作業で使用する機械や技術を一般に公開することで、地域社会における庭師の職能と「緑」の価値を再認識させる場となった。2022年の第1回から毎年開催を重ね、今回で5回目を迎えた。
出典:庭展なら 公式サイト(niwaten-nara.com)2026年5月
【記念日・文化】
5月4日「みどりの日」、国公立庭園が無料開放。日本庭園への関心が高まる
「みどりの日」に合わせ、全国の国公立庭園・自然公園が無料開放され、多くの来場者が日本庭園に触れる機会を得た。GW後半と重なったこともあり、各地で例年以上の人出を記録。観光資源としての庭園を維持するための「技術」そのものへの関心も高まっており、オーバーツーリズムによる踏み荒らし対策など、現代的な管理課題と伝統技法の共存が改めて議論される1日となった。
出典:環境省・各自治体公園管理事務所 2026年5月4日
【海外・イベント】
チェルシーフラワーショー2026、来週開幕へ。「気候変動への応答」がテーマに
5月19日の開幕を控え、ロンドン・ロイヤル・ホスピタル・チェルシーではガーデン設営が最終盤を迎えている。今年のショーは「イノベーション、自然の景観、そして未来」をテーマに掲げており、気候変動による渇水・猛暑に対応した「レジリエントな庭」デザインが注目を集めている。トム・スチュアート=スミスによる「テート・ガーデン」、エデン・プロジェクト25周年記念ガーデンなど著名デザイナーの作品が並ぶ。プロの庭師・ランドスケープデザイナーにとって、世界の潮流を知る最大の場のひとつだ。
出典:RHS(王立園芸協会)公式サイト 2026年5月
【海外・トレンド】
英国で「No Mow May」が今年も本格化。「あえて刈らない」管理がプロに問いを投げる
英国の野生植物保護団体Plantlifeが主導する「No Mow May(5月は芝を刈らない)」キャンペーンが2026年も展開されている。5月中の草刈りを控えることでデイジーやクローバー、バードフットトレフォイルなどの野草を開花させ、ミツバチや蝶などの花粉媒介者を支援するのが目的だ。英国では23日間以上の庭が2500万か所以上あるとされ、自治体・大学・教会まで参加の輪が広がっている。プロの造園管理者にとっては「美しく整えること」と「生態系を育てること」という2つの価値観の間で、管理方針の見直しを迫られる機会でもある。日本の造園界でも、このような「生物多様性との共存」を意識した維持管理への関心が今後高まっていくことが予想される。
出典:Plantlife 公式サイト 2026年5月・BBC 2026年5月4日
【造園DX】
LiDAR搭載スマホでの点群計測が普及加速。小規模造園会社の「現調」を変える
2026年シーズンの繁忙期において、LiDARセンサーを搭載したスマートフォンやタブレットでの点群データ計測が本格的に普及している。これまでの手作業による測量に比べ、現場の3Dデータを数分で取得できる効率性は、人手不足に悩む小規模な造園会社にとって大きな武器となっている。取得データがそのまま設計ソフトへ反映されることで、商談のリードタイム短縮に直結している。
出典:日刊建設工業新聞 2026年5月
【害虫・気象】
チャドクガの早期孵化に注意。4月の高温が影響し例年より早い発生
4月下旬から5月上旬にかけて、全国的な気温上昇の影響でチャドクガの孵化が例年より早まっている。ツバキやサザンカにおける若齢幼虫の群生が各地で確認されており、今週が防除のタイムリミットとなる現場も多い。まだ葉の裏に固まっているこの時期の早期発見・早期防除が被害拡大を防ぐ鍵だ。作業時には防護服の着用など、職人自身の安全確保も欠かせない。
出典:農林水産省・各都道府県 病害虫発生予察情報 2026年5月
道具・刃物の動向
【海外需要・市場】
円安継続で海外プロガーデナーの「産地直送」需要が加速。日本の高級道具に追い風
1ドル=155〜158円台という記録的な円安が続く中、海外のプロガーデナーや刃物愛好家による日本産地への直接注文が5月に入り一段と活発化している。欧米のプロにとって「世界最高水準の剪定鋏や鍛造鋸が割安で手に入る」状況が続いており、ECサイト経由の問い合わせや注文が増加。Tetsufukuでも同様の動向が確認されており、円安を追い風に日本の刃物・道具の国際的な存在感が高まっている。一方で、Section 232関税の影響が重なる米国向けの対応は引き続き複雑な状況にある。
出典:Tetsufuku調べ・外国為替市場 2026年5月
【出典・引用元について】
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